旧字体注記

 誤解されていることが少なくないと思いますが、「旧字体」とは、当用漢字字体表(のちの常用漢字表)で示された「新字体」に対応する言葉です。  それ以外の「通用字」(俗字、略字、拡張針字体等)に対するものは、正確に言えば、「正字」とか「いわゆる康熙字典体」などと呼ばれます。

 では、「旧字体」とはどれなのかというと、人によって解釈が異なり、漢和辞典においても違いが見られます。また、字の形も微妙に異なるものがあります。
 ここでは『標準校正必携第7版』(日本エディタースクール1996年)の「常用漢字表」に記された旧字体を、字形も含めて対象としました。
  1 常用漢字表で旧字体が示されているもの
  2 常用漢字表で旧字体が示されているもののうち、補足説明が必要なもの
  3 常用漢字表では「著しい差異がない」として省略されたもの
  4 筆押さえの有無など、明朝体活字デザインの差異によるもの
 なおここでは、「古来二種以上あった字体」は省略しました。

 当用漢字字体表以前の活字の字形(いわゆる正字)は、一様ではありませんでした。
 これが「旧字体」だという、決まったものはありません。先にも書きましたが、漢和辞典においても違いが見られます。
 くわしくは『明朝体活字字形一覧』(文化庁文化部国語課1999年)等をご覧ください。

 「常用漢字表で旧字体が示されているもの」は、すべてWEBで使用できます(すべて第一~第四水準に含まれるため)。
 反対に、「常用漢字表で旧字体が示されているもの」以外の旧字体は、WEBではほとんど使用できません。もっともIBM外字(いわゆるWindows拡張漢字)はWEBでも使用可能です。ただし使えるのは、「青」「靑」、「益」「益」など数はあまりありません。
 なお、IBM外字はMacやスマホでも表示可能です。

 ただし、ATOKでも、漢字検索や手書き文字入力の候補から外されています。したがって、Unicode表から入力する以外の方法は、あまりないようです(ATOKでは、変換候補の下の方で出てくる場合もありますが……)。
 なお、Shift-JISにしか対応していないソフトでは、第一・第二水準の漢字しか使えません。

目次へ戻る

コメントを残す