パソコンで使える字体の使い分け

 現在のパソコン(Windows、Mac)で標準的に使える日本語の漢字は、JIS X 0213:2004で規定されたものです。くわしく確認できたわけではありませんが、スマートフォン・タブレットも同様なはずです。
 したがって、ここでは、JIS X 0213:2004に準拠して説明したいと思います。

 「パソコンで、漢字の字体を使い分けるのは難しい」「漢字の字体を使い分けにはDTPソフトなど専門的な機材が必要」と思われがちかもしれませんが、普通のパソコンでも、使い分け可能な漢字は、相当数存在します。
 ここでは、それらを紹介したいと思います。

パソコンで使い分けできる主な漢字

 現在のパソコンの標準的な環境で使える漢字です。JIS X 0213規格表の参照文字のなかから主なものを取り上げ、常用漢字表に掲げられた旧字体を統合しました。くわしくは「パソコンで使い分けできる主な漢字」をご覧ください。
 その中にIBM外字というものが出てきますが、これは、Shift-JISの時代にWindows拡張漢字といわれていたもので、パソコンがUnicodeベースにかわって以来、Macでも使えるようになりました。

JIS第一・第二水準で使い分けができる漢字

 相当古いパソコンや、収録文字数が少ないフォントでも使用可能な漢字です。JIS X 0208に準拠したもので、Shift-JISにしか対応していないソフトでも使うことができます。
 ここでは、JIS X 0213規格表の参照文字のなかから、主なものを取り上げました。くわしくは「第一・第二水準で使い分けられる主な漢字」をご覧ください。なお「常」は常用漢字です。ただし、第一・第二水準で使える旧字体のすべてを網羅しているわけではありませんので、くわしくは「パソコン・WEBで使える旧字体」をご覧ください。

JIS第三・第四水準でなら使い分けができる漢字

 現在のパソコンの、標準的な環境で使える漢字です。JIS X 0213:2004に準拠したものです。相当古いパソコンや、Shift-JISにしか対応していないソフトでは使えません。逆に言えば、古い環境では使えないものをピックアップしたかたちになります。補足資料とお考えください。
 ここでは、JIS X 0213規格表の参照文字のなかから、第三・第四水準を使う主なものを取り上げました。くわしくは「第三・第四水準でなら使い分けられる主な漢字」をご覧ください。なお「常」は常用漢字です。こちらも、第三・第四水準で使える旧字体のすべてを網羅しているわけではありませんので、くわしくは「パソコン。WEBで使える旧字体」をご覧ください。

使い分けができない漢字

 残念なことに、使い分けの需要が多いと思われるのにもかかわらず、使い分けができない漢字もあります。
 2004年にJIS X 0213が改訂され、印刷標準字体に準拠した字形に変更されたためです。なかには、どこがどう変わったのか見分けがつきにくいものもありますが、2002年の「JCS 調査研究委員会 成果報告書」(日本規格協会)のなかから、「(5)字形が異なるもの」「(6)三部首許容」をピックアップしました。「(3)微細なデザイン差」は省略しましたが、・杓、・灼、・豹、・芦は残しておいた方がよかったかもしれません。
 なお、印刷標準字体のなかには、第三水準を使うものも含まれ、これらは使い分けが可能です。このなかには、「鷗」と「鴎」、「摑」と「掴」、「驒」と「騨」、「禱」と「祷」などが含まれます。
 くわしくは「「WEBで使い分けられない主な漢字」「従来書体とN 書体(印刷標準字体)」をご覧ください。

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